妊娠が分かって、あるいは出産日が近づいてきて、
産休・育休中の生活について心配されている方も多いのではないでしょうか。
妊娠中から出産を経て子育てをしていく中で受けられる公的保障制度はさまざまありますが、
今回は育休を取得するママとパパがもらえる育児休業給付金について
申請方法や受給額の計算方法について、詳しく説明していきます。
育児休業給付金
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が1歳又は1歳2か月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得したとき、一定の条件を満たす場合に受給できます。
※育児休業給付金の対象は、以下の1及び2いずれにも該当する休業です。
- 被保険者から初日と末日を明らかにして行った申出に基づき事業主が取得を認めた育児休業。
- 休業開始日から、当該休業に係る子が1歳(いわゆるパパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2か月。さらに保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6か月または2歳)に達する日前までにあるもの。 ※産後休業(出生日の翌日から8週間)は育児休業給付金の対象外です。 ※産後6週間を経過した場合で、当該被保険者の請求により、8週間を経過する前に産後休業を終了した場合でも、産後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされます。 ※休業開始後に他の子に係る産前産後休業又は育児休業や、介護休業が開始された場合は、それらの休業の開始日の前日をもって当初の育児休業給付は終了します。
(参考)001126859.pdf (mhlw.go.jp)
受給要件
- 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(原則2回まで分割取得可)。
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること ※1年以内に転職等をした場合でも、失業手当を受給しなかった場合は転職前の雇用保険加入期間を合算できます。
受給額
受給額=休業開始時賃金日額(W)※×支給日数×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)
育児休業給付金の休業開始時賃金日額の計算方法は、基本的に失業給付(基本手当)の賃金日額の計算方法と同じです。 同一の子に係る最初の育児休業開始前(産前産後休業を取得した被保険者の方が育児休業を取得した場合は、原則として産前産後休業開始前)直近6か月間の総額を180で除して得た額をいいます。
【原則の算定】 W=休業前直近6か月間の賃金総額を180で除して得た額
※賃金支払基礎日数が11日未満の賃金月は除く。 ※当該休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の賃金月が6か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である賃金月に支払われた賃金
こんなときは…?
・残業代・交通費・賞与…は賃金に含まれる?
残業代・交通費・住居手当・勤務地手当・単身赴任手当等、事業主から支給される各種手当は賃金日額算定の基礎に含まれます。
賞与等3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、退職金・祝い金等は賃金日額算定の基礎には含まれません。
・育児休業中に退職した場合は?
支給単位期間は、原則30日間です。 支給単位期間の途中で離職した場合、受給資格の喪失日の属する支給単位期間の前の支給単位期間までが支給対象となります。 退職する場合は退職日をいつにするかも重要ですね!
・時給制や日給制で働いている場合の算定方法は?
給与が時給制や日給制の場合は、所定労働日数が通常の労働者と比べ少ないことから、180で割ると極端に賃金日額が少なくなってしまいますよね。。。そのため、時給・日給労働者の場合は以下の計算方法を適用できます!
【時給・日給労働者の場合の算定】 W1=休業前直近6か月間の賃金総額を180で除して得た額 W2=休業前直近6か月間の賃金総額を実際の労働日数で除して得た額×70%
W1とW2を比較して大きい方の金額を採用します。
要するに、180日×70%=126日のため、労働日数が126日以上の場合は原則通り計算すればよいこととなります。
(参考)50401-50600 第5 賃金月額の算定の基礎となる賃金の範囲(p84~91)【H24.4】 (mhlw.go.jp)
申請方法(初回)
被保険者を雇用している事業主が事業所の所在地を管轄するハローワークへ申請を行います(電子申請も可能)。ただし、被保険者が準備する書類もありますので、事業主に確認しておきましょう。
【提出書類】
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの
- 母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など育児の事実、出産予定日及び出生日を確認することができるもの
育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに初回の申請を行う必要があります。産後落ち着いたタイミングで構いません。母子手帳の写し等、自分で準備すべき書類を事業主へ提出しましょう。
申請方法(2回目以降)
育児休業給付金の申請は、原則として事業主からハローワークへ2か月に一度行います。被保険者本人が希望する場合は、本人が申請することも可能(事業主の証明は毎回必要)です。また、経済的な理由等で被保険者本人が希望する場合、1か月に一度、支給申請を行うことも可能ですので、事業主に相談すると良いでしょう。
【提出書類】
- 育児休業給付金支給申請書(ハローワークが交付)
- 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカードなど育児休業給付金支給申請書の記載内容を確認できるもの(事業主が証明)
2回目以降の申請の時期はハローワークが交付する「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に印字されています。いつまでも振込がない場合は、事業主が申請していない可能性もありますので、確認してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は育休を取得するママとパパがもらえる育児休業給付金について
申請方法や受給額の計算方法について、詳しく説明しました。
産休・育休の手続きは、法令や事業主の方針を確認し、しっかりと計画を立てることが重要です。
安心して新しい命と向き合えるように、事前に必要な手続きを把握しておきましょう!
妊娠中、産休・育休中、子育て中に受けられる公的保障制度は他にもたくさんあります。
全ての手続をリスト化した記事もご用意しておりますので、ご活用いただければ幸いです。
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